記憶に新しい新型コロナウイルス感染症パンデミックの初動期においても、同様の混乱が日本中を揺るがしました。未知のウイルスへの恐怖と外出自粛要請が重なり、社会の緊張感が極限に達していたタイミングで流言飛語が投下されたのです。
事態を重く見た経済産業省は、連日にわたってメーカーの巨大倉庫に積み上がったトイレットペーパーの山を公式SNSで公開し、「在庫は潤沢にある」と異例のアピールを続けました。また、消費者庁も買い占めや高額転売に対する監視を強化し、冷静な購買行動を強く呼びかける事態へと発展しました。
行政や業界団体による懸命の情報発信は一定の沈静化をもたらしたものの、一度狂った流通の歯車が完全に正常化するまでには数週間の時間を要しました。供給側がどれほど安全宣言を出しても、消費者の心理的パニックを鎮火させる難しさを、この騒動は痛烈に浮き彫りにしました。