連載終了から長い年月が経った現在でも、SNSや掲示板などで事実と異なる解釈が独り歩きしているケースが散見されます。特に検索ボリュームの大きい「雪村螢子との結婚」と「父親の血縁」に関する2大誤解をファクトチェックします。
誤解1:最終回で幽助と雪村螢子は正式に結婚した?
結論から述べると、原作最終回の時点で2人はまだ法的な結婚はしていません。実質的な「婚約状態」です。
魔界へ旅立つ直前の第175話において、幽助は螢子に対し「3年間待ってくれ。もし帰ってこなかったら、他のいい男を見つけてくれ。だが戻ったら結婚してくれ」というプロポーズを行っています。その後、約束の3年が経過した最終幕(第175話のラストシーンおよび第176話)、幽助は人間界へと帰還。砂浜で螢子を抱き寄せてキスを交わす感動的な幕引きを迎えますが、挙式や入籍の描写は描かれていません。
後日談が語られた完全版や設定資料においても、螢子は教師を目指して進学し、幽助は屋台を営みながら穏やかな交際を続けている段階であることが描写されています。「結婚した」という言説は、プロポーズの約束と最後の熱い口づけが読者の記憶の中で美しく昇華された結果生まれた誤解と言えます。
誤解2:雷禅が実の父親で、母親を捨てたのか?
前述の通り、雷禅はおよそ700年前(約44世代前)の先祖です。雷禅が愛したのは魔界に迷い込んだ戦国時代の食人治療を行う人間の女性であり、幽助の実母である浦飯温子とは全く面識がありません。
温子の夫であり幽助の遺伝上の父である「アツシ」は、単なるだらしない人間の男性です。アツシは家庭を顧みず温子と別居状態にありましたが、終盤でふらりと姿を現し、温子と酒を酌み交わすコミカルな日常シーンが挟まれています。神話的な宿命の父(雷禅)と、現実的な生々しい人間の父(アツシ)が明確に分離して描かれている点に、冨樫義博氏特有の脱構築的な作家性が光っています。