「患者の体位変換や移乗、不穏な患者への対応ばかり頼まれる」。多くの現場で聞かれるのが、腕力や体力を前提とした業務配分への不満だ。体重のある患者のケアや、暴言・暴力を伴う緊急事態において、男性看護師は防波堤としての役割を暗黙のうちに押し付けられる。
その結果、配属先は救急救命センター、集中治療室(ICU)、整形外科、あるいは精神科病棟といった高負荷な現場に偏りがちになる。一方で、産婦人科や乳腺外科、小児科などでは、患者側の心理的抵抗感を理由に男性の受け入れを敬遠するケースも根強く残る。専門性を広げたくても選択肢が実質的に制限されてしまうジレンマが、彼らのモチベーションを静かに削り取っていく。
フィジカル頼みの働き方は、腰痛や関節疾患といった職業病と隣り合わせだ。「50代になっても今と同じペースで患者を抱え上げられるのか」。将来への肉体的不安は、精神的なバーンアウトを加速させる決定打になりかねない。