かつてアイドルとは、偶像であり、ファンにとっての「理想の恋人」であるべきだった。しかし、島崎遥香はそのルールをあっさりと無視した。握手会でのそっけない態度、テレビ番組でのやる気のなさそうな佇まい。それらは瞬く間に「塩対応」と名付けられ、社会現象となった。愛想を振りまくことが義務化された世界で、彼女の放つ冷ややかな視線は、逆に新鮮なリアルとして大衆に突き刺さったのだ。
彼女は決して、ファンを嫌っていたわけではない。ただ、嘘がつけなかった。無理に作った笑顔で媚びることを拒絶した結果が、あのスタイルだった。この「飾らない強さ」は、特に同世代の女性たちから熱狂的な支持を集めることになる。記号化された可愛らしさへのアンチテーゼとして、彼女は新しい時代のアイドル像を自ら作り上げた。