2012年6月29日、地井武男さんは都内の病院で静かに息を引き取りました。享年70。公式に発表された直接の死因は心不全でしたが、その背景には血液の難病である急性骨髄性白血病との過酷な闘いがありました。
異変が起きたのは2012年1月のことでした。視野の異常や激しい体調不良を訴えて緊急入院となり、医師からは徹底した治療が必要と診断されます。当時レギュラーを務めていた『ちい散歩』のロケを一時休養し、本人はもちろんスタッフや視聴者も早期の復帰を信じて待っていました。
病床にあっても、地井さんの視線は常にテレビの現場と応援してくれるファンに向いていました。治療による激しい体力消耗や苦痛に耐えながらも、「足腰を鍛え直して、また視聴者のみなさんと一緒に街を歩くんだ」と病室でリハビリを重ねていた姿は、担当医師や看護師の胸を強く打ったと伝えられています。
しかし病状は一進一退を繰り返し、同年5月には体調の回復が困難であることから『ちい散歩』の放送終了が正式に決定。そのわずか1か月後、家族に見守られながら旅立ちの時を迎えました。弱音を一切吐かず、最後までカメラの前に戻る希望を捨てなかった姿勢は、まさに生粋の表現者そのものでした。