アイヌ語の「ノッ・サム(岬の傍ら)」に由来する納沙布岬は、東経145度49分に位置する本土最東端の岬です。オホーツク海と太平洋を分かつ潮の流れが激しくぶつかり合う岬の突端に立つと、荒々しい波濤とともに息をのむようなパノラマが広がります。
何より訪れる者を驚かせるのが、北方領土との圧倒的な近さです。沖合わずか約3.7kmの距離には歯舞(はぼまい)群島の貝殻島が浮かび、天候に恵まれれば白くそびえる貝殻島灯台や水晶島(約7km)の平坦な島影を肉眼ではっきりと捉えられます。
岬周辺には北方領土問題の歴史と現状を伝える施設が充実しています。「北方館・望郷の家」では、無料の大型望遠鏡を使って間近に迫る島々の様子を観察できるほか、当時の島民の生活資料や貴重な写真パネルが多数展示されています。敷地内に立つ巨大なアーチ状モニュメント「四島の架け橋」と、返還の願いを込めて燃え続ける「祈りの火」は、この地が背負う歴史の重みを静かに物語っています。
旅の記念として外せないのが「本土最東端 到達証明書」です。北方館の受付窓口や根室駅前の観光インフォメーションセンターなどで発行されており、日付入りの特別な証明書を手に入れることができます。