森泉さんの家系を語る上で欠かせないのが、2026年8月に96歳で生涯を閉じた祖母・森英恵さんの存在です。蝶をモチーフにした優美なデザインで「マダム・バタフライ」と世界中から称賛され、1977年には東洋人として初めてパリ・オートクチュール組合の正会員に認定されるなど、世界の服飾史に不滅の金字塔を打ち立てました。
日本航空(JAL)の客室乗務員の制服や、バルセロナ五輪・リレハンメル五輪の日本選手団公式ユニフォーム、さらには雅子皇后陛下のご成婚パレードのローブ・デコルテを手掛けたことでも知られています。
かつて一世を風靡した巨大アパレルグループ「ハナエモリ」ですが、2000年代初頭の民事再生手続きなどを経てブランドの権利は事業会社へと移行しました。そのため、血族の誰かひとりが巨大企業を丸ごと継承するという形ではなく、ファミリーそれぞれが英恵さんの美意識とクリエイティビティを継承し、各自の事業や表現活動へ昇華させる道を選択しています。血筋に甘えることなく自らの腕で道を切り拓く姿勢こそが、森一族に受け継がれる真のレガシーです。