フラッシュが働く免許センター(DMV:Department of Motor Vehicles)のシーンは、アメリカ社会における「お役所仕事の遅さ」を痛烈に皮肉った名場面だ。アメリカに住んだ経験がある人なら誰もが頷く「何時間待たせるんだ」というリアルな不満を、ナマケモノという種族の生態に見事に重ね合わせている。
しかし、このシーンの本当の衝撃はラストのオチにある。劇中の終盤、猛スピードで市内を爆走するスポーツカーを取り締まったジュディとニック。運転席から現れたのは、まさかのフラッシュだった。なぜ、日常動作のすべてがスローな彼がスピード狂なのか。制作陣が明かした裏設定は実にシンプルで痛快だ。「一度アクセルペダルを踏み込んだら、足をブレーキに戻すまでに時間がかかりすぎて止まれないから」。彼自身がスピードを愛しているのではなく、生態そのものが暴走運転を生み出してしまっているという、あまりに計算され尽くしたユーモアである。