このラストランで初めてオグリキャップの手綱を取ったのが、当時21歳で飛ぶ鳥を落とす勢いだった若き天才・武豊騎手でした。陣営からのオファーを受けた武騎手は、事前の追い切りで怪物の状態を冷静に見極めていました。
レース前、「世間が言うほど衰えてはいない」と確信していた武騎手は、従来の強引な先行策ではなく、中団で脚を溜める柔軟なレース運びを選択します。3コーナーから徐々に進出し、4コーナーで抜群の手応えのまま先頭に並びかける騎乗は、まさに天才の真骨頂でした。
直線で先頭に立った瞬間、テレビ実況では「オグリキャップ先頭!オグリキャップ先頭!」と絶叫が響き渡り、解説の大川慶次郎氏が思わず発した「ライアン!ライアン!」という声とともに、競馬史に残る名場面として記録されました。レース後、武騎手が語った「オグリキャップが自らの力で走った。僕は乗っていただけです」という謙虚な言葉は、今も語り草となっています。