小林旭という存在を語る上で、日本映画界の熱狂を外すことはできない。1950年代後半から1960年代、日活のアクション映画全盛期において、「マイトガイ」の愛称で親しまれた小林はまさに時代のアイコンだった。スクリーン狭しと暴れ回り、恋に生き、孤独を背負うその姿に日本中が酔いしれた。
とりわけ映画『ギターを持った渡り鳥』シリーズは、無国籍アクションと音楽が見事に融合した傑作として知られる。ギター片手に荒野を歩き、悪を討つ流れ者のダンディズム。そこで培われた「歌う映画スター」としての身体性と表現力が、後年の音楽活動の太い幹となった。映画館の巨大なスクリーンを震わせたあの声の厚みこそが、のちに大瀧詠一や多くのクリエイターたちを魅了し続ける原動力となったのだ。