インターネット上の言説を調査すると、いくつかの重大な誤認とデマが定着してしまっている実態が見受けられます。メディアとして正しく是正すべき第1の盲点は、氏名の表記揺れ問題です。
検索エンジンでは「八田興一」というキーワードが大量に検索されていますが、警察庁および大分県警察が公開している戸籍上の正確な氏名は「八田與一(はった よいち)」です。「與」という旧字体がスマートフォンの入力環境によって「興」と誤変換されたまままとめサイト等で拡散された結果、誤った表記が独り歩きを続けています。情報の検索や警察への通報時には、正式名称での確認が不可欠です。
第2の誤解は、前述した「千葉工業大学出身説」です。八田容疑者は千葉県の高校に在籍していた過去がありますが、千葉工大に在籍した公的記録や事実関係は存在しません。ネット上では「理系出身でITに精通しているから足取りがつかめないのではないか」という根拠なき憶測が重ねられ、工科系大学の名前が結びつけられたとみられます。事実は大分県内の私立大学に籍を置いていた時期があり、ITスキルではなく、泥臭い肉体労働や土地勘を活かした潜伏生活を送っている可能性が高いとプロの捜査員は見立てています。