日本の伝統的な武具としての鉄扇は、刀を持ち込めない式典や屋内で護身用として携行されたほか、軍師が陣頭指揮を執る際のシンボルとして用いられた。優雅な装飾品でありながら内側に金属の骨組みを秘める構造は、救済を謳いながら人間を喰らう童磨の二重構造と完璧に合致する。
狂気と美意識の融合は、吾峠呼世晴による緻密なキャラデザインの賜物だ。どこまでも柔和に微笑みながら金色の扇をひらひらと揺らし、教徒の悩みを聞く姿。そして次の瞬間には、その扇で無感情に首を跳ね飛ばす動作。その視覚的コントラストが、読者の脳裏に鮮烈なトラウマと抗えない魅惑を刻み込む。