イヤホンの骨格を決めるのは、内部に鎮座するドライバーユニットの素性だ。この選択を誤ると、どれほど高価なモデルを買っても好みの音には出会えない。
重厚な低域と自然な音の広がりを求めるなら、ダイナミック型ドライバーに軍配が上がる。空気を物理的に大きく震わせる振動板の動きは、ドラムのアタック感やベースラインの唸りを生々しく再現する。ドイツの名門ゼンハイザーが頑なにこの方式を磨き上げ、単一ドライバーで驚異的な広帯域再生を実現しているのは象徴的な事実だ。
対照的に、緻密な解像度と鮮烈な中高域を叩き出すのがバランスド・アーマチュア型ドライバー(BA型)である。補聴器の技術から発展し、ステージモニターの雄であるShureが牽引してきたこの方式は、ボーカルの微小な息遣いや弦楽器の擦れを恐ろしいほどの精度で描き出す。近年では両者を組み合わせたハイブリッド型も定番化したが、それぞれのドライバーが持つ根本的な鳴り方の違いを理解しておくことが、失敗を防ぐ第一歩となる。