近年の臨床心理学における実証データや、日本心理学会で報告された知見を精査すると、重症化しやすいタイプには驚くほど明確な共通点が浮かび上がってくる。単に「動物好き」という枠組みにとどまらない、個人の心理プロファイルがそこには存在する。
第1の特徴は、「高い共感性と内罰的傾向」を併せ持つ性格だ。動物の些細な苦痛に敏感な人ほど、最期を看取った後に「もっと早く異変に気づいていれば」「あの治療を選んだのは間違いだったのではないか」と、自分を容赦なく責め立てる。因果関係のない出来事まで自らの責任に結びつける思考パターンが、悲嘆の出口を塞いでしまう。
第2に、「日常生活における主要な役割を介護に置いていた人」である。老病のペットに対する長期にわたる投薬、通院、夜間の看病は、肉体的な疲弊をもたらすと同時に、飼い主に強い「必要とされている実感」を与える。死によってその激務が突然ゼロになった瞬間、強烈な脱力感と存在価値の喪失が襲いかかる。
第3に、「周囲に本音を打ち明けられない環境」が孤立を決定づける。「たかが犬や猫のことで」という世間の無理解を恐れ、悲しみを隠蔽する行為は、精神医学において「公認されない悲嘆(Disenfranchised Grief)」と呼ばれる。この抑圧こそが、症状を慢性化させる最大の引き金である。