スプレーを使った直後に害虫が飛び出してくる現象は、製品の不具合でも逆効果でもなく、薬剤設計における追い出し効果(フラッシング作用)によるものです。
市販のプッシュ式殺虫剤の多くには、即効性と神経興奮作用を持つ有効成分が含まれています。冷蔵庫の裏や家具の隙間といった暗所に微小な薬剤粒子が届くと、そこに潜んでいた個体の神経系が過剰に刺激され、猛烈な興奮状態に陥ります。その結果、本来の潜伏場所にとどまることができなくなり、明るい室内へと飛び出してきてしまうのです。
「スプレーをしたせいで増えた」「外から引き寄せられた」と感じる人もいますが、殺虫成分に誘引効果(おびき寄せる作用)はありません。飛び出してきた個体は、もともとその部屋の死角に潜伏していたもの。フラッシング効果によって室内の潜在的な生息実態が白日の下にさらされた結果と言えます。