最終巻の発売直後、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)や当時のTwitter(現X)、レビューサイトでは激しい批判の声が巻き起こりました。いわゆる「はがない最終巻炎上事件」の主な論点は、読者が長年期待していた王道ラブコメとしてのカタルシスが完全に放棄されたことにあります。
ネット上で結末が批判された要因は、主に以下の3点に集約されます。
- 唐突な幸村ルートへの寄り道:物語終盤で突如として小鷹と幸村が交際し、肉体関係を匂わせる描写の後にあっさり破局した展開が、ヒロインレースの文脈を無視していると受け止められたこと。
- 夜空の処遇に対する反発:第1巻から物語を牽引してきた夜空が、最終的に星奈の従者ポジションに落ち着くという扱いに、夜空ファンから強い不満が噴出したこと。
- 関係性の先送り:星奈との両想いを確認しながらも「大学進学後」へと結論を先送りにした小鷹の態度が、優柔不断で逃げ腰に見えたこと。
この急展開から「作者が筆を投げた」「編集部との対立による打ち切りではないか」という憶測が長年語り継がれてきました。しかし、出版実績や当時の関係者証言を精査すると、打ち切り説は事実と異なります。累計部数700万部を超えるメガヒット作を編集部が無理やり終わらせる理由はなく、作者の平坂読氏は『月刊コミックアライブ』や自著のあとがき等で、予定していたテーマを描き切った旨を一貫して示唆しています。商業的な打ち切りではなく、作者が意図して「記号的なハッピーエンドの解体」を試みた結果が、読者感情と致命的に乖離してしまったというのが真相です。