童謡『うれしいひなまつり』の歌い出しとして広く知られる「あかりをつけましょ ぼんぼりに」。なぜ雛人形壇において、これほどまでに雪洞が象徴的に扱われるのでしょうか。
最大の理由は、雛飾りが「平安時代の貴族の婚礼儀式」を模している点にあります。古来、貴族の正式な結婚の儀は夜間に行われていました。暗闇の中で新郎新婦が盃を交わす厳粛な儀式において、手元や周囲をほのかに照らす照明具は儀式を執り行うために絶対に欠かせない必需品でした。このため、内裏雛(お内裏様とお雛様)のすぐそばに雪洞が配されているのです。
さらに、明かりには「邪気を祓い、子どもの未来を明るく照らす」という魔除けの意味も込められています。春の節句に火を灯す行為は、健やかな成長と良縁を祈る親の切実な願いの表れでもあります。