現代の競輪戦術において、勝率を上げるためにレース展開に応じて位置を取る「自在型」へシフトする選手は少なくない。特に30代半ばに差し掛かれば、体力の温存を狙ったレース運びを選ぶのがセオリーとも言える。しかし、北井佑季のレースに計算ずくの逃げ腰は一切存在しない。
打鐘(ジャン)が鳴り響くと同時に、北井は躊躇なくペダルを強く踏み込む。自らラインの先頭に立ち、後ろにつく番手・三番手の選手を引き連れて風よけとなるスタイルは、競輪界でも「先行日本一」と称されるほど徹底されている。負けたとしても納得のいく走りを見せるその潔さが、オールドファンからライト層まで幅広く熱狂的な支持を集める理由だ。