長期間放置されたココアパウダーの内部では、目に見えない恐ろしい変化が進行している。最大の脅威は「コナダニ」と呼ばれる体長0.3ミリ前後の害虫だ。特にタンパク質や糖分が豊富な調整ココアは大好物であり、わずかな隙間から侵入して爆発的に繁殖する。ダニが大量に発生した粉末を摂取すると、アナフィラキシーショックを引き起こす危険性すらある。
湿度が高い環境に置かれた場合、カビの発生も避けられない。粉末が湿気を吸うと表面に白いカビ胞子が形成され、カビ毒を生成するおそれがある。
仮に害虫やカビを免れたとしても、栄養成分の劣化は免れない。ココアの代名詞でもあるカカオポリフェノールは、空気に触れ続けると徐々に酸化し、本来期待できる抗酸化作用や健康効果が損なわれていく。最新の食品・飲料製造業では脱酸素剤や高度な遮光パッケージで品質保持を図っているが、個人の管理下で放置された粉末は着実に魅力を失っていくのだ。