今や巨大スタジアムを連日満員にする国民的トップアーティストとなったSEKAI NO OWARIですが、その原点は極めて過酷な泥臭い現場にありました。
2006年、大田区の印刷工場跡地を借り受け、メンバー自らコンクリートを打ち、防音壁を貼り、ペンキを塗って手作りしたライブハウス「club EARTH」。オープン当初は数千万円規模の借金を背負い、家賃や返済のためにアルバイトを掛け持ちしながら、地下の湿った空間で寝袋にくるまって夜を明かす日々が続きました。機材トラブルや集客ゼロの屈辱を幾度も味わいながら、彼らは「自分たちだけの箱庭」で独自のサウンドを研ぎ澄ませていきました。
ドラマーを置かず、Nakajinがアコースティックギターやマンドリン、シンセサイザーを巧みに操り、Saoriのクラシカルなピアノが主旋律を彩る。そして、DJ LOVEが重低音のリズムトラックを鳴らし、Fukaseの繊細かつ伸びやかな声が物語を紡ぎ出す――。この特異なサウンド構成は、防音設備が十分でなかった地下ライブハウスの制約から生まれた「逆境の産物」でした。
2026年、メジャーデビュー15周年を迎える彼らは、初期のダークファンタジーや壮大なポップシンフォニーを経て、よりオーガニックかつ先鋭的なグローバルサウンドへと進化を続けています。国内ツアーのみならず海外クリエイターとのコラボレーションやサウンドトラック制作など、4人の確固たる音楽的教養に裏打ちされたプロジェクトは円熟期を迎えています。