JTWCの公式サイトで公開されるグラフィックや進路予想図(TC Warning Graphic)を正確に読み解くには、米軍特有の「時刻表記」と「風速単位」の変換ルールを押さえる必要があります。
1. 日本時間(JST)への換算ルール:協定世界時+9時間
JTWCの画像内に記載されている日時は、すべて協定世界時(UTC)です。末尾に「Z(ズールータイム)」が付記されています。 * 換算式:JTWCの表記時間 + 9時間 = 日本時間(JST) * 表記例:「18/0600Z」の場合 →「18日06時00分(UTC)」を意味します。 → 9時間を足すと「18日15時00分(日本時間)」となります。 * 日付跨ぎの例:「21/1800Z」の場合 → 21日18時に9時間を足すと27時、つまり「22日午前3時00分(日本時間)」です。
2. 風速の換算ルール:ノット(kt)からメートル毎秒(m/s)へ
JTWCの風速表記はノット(knots / kt)が用いられています。日本のニュースで馴染みのある「m/s(メートル毎秒)」へ換算するには、以下の計算を行います。 * 換算係数:1ノット = 約0.5144 m/s(おおよそ「ノットの数値を半分」にすると概算のm/s) * 例:「65 kt」と記載されている場合 → 65 × 0.5144 = 約33.4 m/s(日本の基準で「強い台風」クラス) * 例:「130 kt」と記載されている場合 → 130 × 0.5144 = 約66.8 m/s(「猛烈な台風」クラス)
3. 風速測定の決定的な違い:「1分間平均」と「10分間平均」
ここで最も注意すべきなのは、「平均風速の計測時間の違い」です。 * JTWC(アメリカ基準):「1分間平均風速」を採用 * 気象庁(世界気象機関・日本基準):「10分間平均風速」を採用 短時間の突風成分を反映しやすい1分間平均は、10分間平均に比べて数値が約1.15〜1.25倍ほど高く算出されます。そのため、同じ台風であってもJTWCの発表風速のほうが気象庁より猛烈に見える現象が起こります。「米軍のほうが勢力を大きく見積もっている」のではなく、単に計測基準が異なるという技術的背景を把握しておくことが不可欠です。