制作陣の意図を紐解くと、この最終回には並々ならぬこだわりが込められていたことがわかる。原作の武論尊氏は、ケンシロウというキャラクターに「安住の地」を与えることを良しとしなかった。彼は常に戦いの中にしか存在し得ない、宿命の漢だからだ。
また、原哲夫氏の圧倒的な画力は、最終回に向けてさらに研ぎ澄まされていった。ボロボロになりながらも眼光を失わないケンシロウの表情、荒廃した世界の光と影。言葉以上に雄弁なビジュアルが、キャラクターたちの生き様を読者の脳裏に焼き付けたのである。彼らが描きたかったのは、勝利の栄光ではなく、生き様そのものだった。