昭和から平成にかけての刑事ドラマといえば、拳銃を手に走り回り、犯人を怒鳴りつけるような熱血漢が主役だった。しかし、令和も後半に入った現在、そのトレンドは完全に過去のものとなった。今の視聴者が惹かれるのは、組織の不条理に静かに耐え、定年を間近に控えながらも己の正義を貫くような、枯れた魅力を持つ刑事だ。
この変化は、社会全体の高齢化や、労働環境に対する意識の変化とも無関係ではない。理不尽な上司と若手部下の板挟みになりながら、胃を痛めて捜査を進める姿に、現代のビジネスパーソンは強い共感を抱く。派手なアクションではなく、取調室での静かな心理戦や、居酒屋でポツリと漏らす独り言にこそ、ドラマのピークが置かれるようになった。