この店の恐ろしさは、メインの魚や白米だけに留まらないことだ。セルフサービス形式で並ぶ彩り豊かな小鉢類。煮物、だし巻き卵、漬物、そしてお味噌汁。どれを取っても一切の手抜きがない。
出汁の取り方一つをとってもそうだ。毎朝削り節と昆布から丁寧にとられた出汁は、一口飲むだけで身体の細胞がじんわりと温まるような深みがある。出汁をたっぷり含んだだし巻き卵は、箸で持ち上げると崩れそうなほど柔らかく、口の中でジュワッと旨味が広がる。作り置きの冷凍食品や業務用の調味料には絶対に出せない、人の手がかけた時間という名の隠し味がここにはある。