本作の緊迫感を支えているのは、対峙する二人の女性の強烈な執念です。主人公・村田杏子(演:永野芽郁)が偽名「山内しずか」を使ってまで御手洗家に潜入した復讐理由は、崩壊した家族の尊厳を取り戻し、母・皐月の冤罪を完全に晴らすことにありました。土下座して謝罪し続ける母の姿がトラウマとなり、自らの人生を投げ打ってでも真実を暴く道を選んだのです。
一方で、鈴木京香が怪演した御手洗真希子の目的は、極度の貧困とコンプレックスからの脱却、そして底なしの「承認欲求の充足」でした。シングルマザーとして派遣社員をしながら日々の暮らしに追われていた真希子は、華やかな御手洗家の生活に激しい嫉妬を抱いていました。御手洗家に入り込んでからは、完璧なセレブ主婦・インフルエンサーとしてSNSで虚飾の自分を演出し続けます。彼女にとって御手洗家は、自らの承認欲求を満たすための巨大なステージに過ぎなかったと言えます。