しかし、華やかなスポットライトの裏側で、日常の歯車は少しずつ狂い始めていた。ソニー・ミュージックエンタテインメントを背負い、TUBEの活動のみならず楽曲提供やスタジアムツアーに追われる前田のスケジュールは過酷を極めた。音楽産業が最も巨大な熱量を帯びていた時代ゆえに、制作スタジオと自宅を往復する生活の中で、家庭での穏やかな時間を確保することは至難の業だった。
家庭に安らぎを求め、地に足の着いた暮らしを望んでいた飯島との間に生じた、生活リズムの決定的な乖離。誰かが悪かったわけではない。ただひたすらに、お互いが背負っていた責任の重さと時代のスピードが、二人の距離を無慈悲に押し広げていった。