かつて吹き抜けの中庭から柔らかな自然光が差し込み、巨大な焙煎機とエスプレッソマシンの重低音が響いていた新宿野村ビル地下1階のあの区画。現在、その空間はどうなっているのでしょうか。
現在、ポールバセットおよびサルヴァトーレクオモが退去した跡地フロアには、新たな飲食ゾーンおよびビル就業者向けの店舗がリプレイスされ、すでに別の日常が定着しています。当時の開放的で洗練されたバリスタカウンターや、店内奥に設置されていた巨大なロースターの姿は完全に取り払われ、野村ビル地下全体のフロア改修に伴い内装は刷新されました。
現地を訪れると、かつて階段を降りた瞬間に鼻腔をくすぐった深煎り・浅煎りの芳醇なコーヒーアロマを覚えているファンほど、その変貌ぶりに一抹の寂しさを覚えるはずです。長年通い詰めた近隣のIT企業勤務者は次のように振り返ります。
「朝8時、出社前にあそこでロングブラックをテイクアウトするのが毎朝のルーティンでした。バリスタの方々が気さくに声をかけてくれる温かさがあり、西新宿の無機質なビル群の中で唯一呼吸ができる場所だった。今でも地下通路を通るたびに当時の風景を思い出します」