大分県立美術館がこれほどまでにメディアや来館者の間で絶賛されている最大の理由は、世界的建築家・坂茂氏が具現化した「開かれた美術館」という独自の空間哲学にあります。従来の美術館にありがちだった「敷居の高い閉ざされた箱」という概念を根本から覆し、誰もが日常の延長線上で芸術に触れられる構造が緻密に設計されています。
最大の特徴は、建物の外周を覆う巨大なガラス面と、大分の伝統工芸である「別府竹細工」をモチーフにした大屋根の木造トラス構造です。地元産のスギ材を編み込むように組み上げた幾何学模様は、温もりと圧倒的なスケール感を両立させています。さらに1階アトリウムの外壁には、高さ約6メートルもの巨大な「ガラス製水平折り戸」が採用されており、気候の良い季節にはこの扉がフルオープンされ、館内と屋外の歩道がシームレスにつながる開放的なパブリック空間へと変貌します。
アトリウム内には、オランダのデザイナーであるマルセル・ワンダース氏による巨大バルーンアート「ユーラシアン・ガーデン・スピリット」や、テキスタイルデザイナー須藤玲子氏のインスタレーションなど、空間と共鳴するアートピースが配置されています。1階のフリースペースを歩くだけで五感が刺激される体験こそが、OPAMがリピーターを惹きつけて離さない決定的な要因です。