本作を語る上で欠かせないのが、コンポーザーである「john」の手腕です。後にメジャーアーティスト「春嵐 TOOBOE」としてアニメ『チェンソーマン』のエンディングテーマ『錠剤』などを手掛け、大衆性と前衛性を兼ね備えた楽曲でヒットを連発する彼の原点が、この『春嵐』に凝縮されています。
また、春嵐 MV イラストの完成度の高さも見逃せません。どこか物憂げな表情を浮かべるキャラクターのビジュアル、印象的に描かれる煙草や夜の街並み、最小限の色彩で最大の陰影を生み出すアニメーション表現は、楽曲の持つアンニュイな空気感を完璧に視覚化しています。音楽と映像の双方が一人の作家の手によって緻密に統合されているからこそ、作品全体が放つ世界観はこれほど強固なものとなっているのです。