インターネット上の質問掲示板やSNSでは、「生後7ヶ月のような早期につかまり立ちをさせると足が曲がってO脚になる」「股関節脱臼を引き起こす」といった言説が散見されます。しかし、小児整形外科および小児科の医学的知見に基づけば、これらの噂には大きな誤解が含まれています。
乳幼児は生まれつき胎内姿勢の影響で生理的O脚の状態にあり、2歳前後までは自然と脚が外側に湾曲しています。これは歩行開始後に徐々に補正され、3〜4歳頃には一時的なX脚を経て、6〜7歳頃に大人の脚のラインへと整っていく生理現象です。赤ちゃんが自分の意志と筋肉を使って立ち上がっている場合、自重を支えるだけの筋力と骨の強度が備わっている証左であり、それが直接的な原因となって骨の変形を招くことはありません。
ただし、注意すべき例外が存在します。「大人が無理やり両脇を抱えて立たせる」「歩行器に長時間乗せて強い負荷をかける」といった外的強制を加えた場合は、未成熟な股関節や足首関節に過度な負担がかかる恐れがあります。あくまで「赤ちゃんが自発的に立ち上がっているか」が医学的な安全基準の境界線です。
もう一つの懸念である「ハイハイを飛ばしてつかまり立ちをすることの弊害」についても見ていきます。ハイハイ(四つ這い運動)は肩甲骨周囲の筋肉、体幹、背筋、手首の支持力を鍛える優れた運動ですが、ハイハイの期間が短くすぐにつかまり立ちや伝い歩きに移行したからといって、将来の運動機能に永続的な障害が残るわけではありません。後からズリバイやハイハイの楽しさに気づいてハイハイに戻る赤ちゃんも多く、無理に寝かせて立つ行為を禁止する必要はありません。