こうした市場の地殻変動に対し、住宅・不動産業界も素早く反応を示している。新築マンションのモデルルームや建売住宅の提案において、かつて必須だった「3人掛けソファー+ローテーブル」の典型的なコーディネートをあえて取りやめるケースが増加した。壁面を広く見せ、住み手が自由にレイアウトできる「フリーゾーン」としてリビングをアピールする物件が人気を集めている。
プロのインテリアデザインの現場でも、従来の固定的な概念は打ち破られつつある。個人のライフスタイルが多様化した現在、全員がテレビに向かって同じソファーに腰掛けるという旧来の生活様式自体が実態に合わなくなっているからだ。夫婦で別々の作業をしたり、子どもが床で自由に遊んだりする現代の家族像には、流動的な空間デザインこそが適している。
そこで提案される最新のリビングレイアウトでは、視線の抜けを意識した「低重心の配置」が基本となる。部屋の境界線を曖昧にし、ラグや照明の配置によってグラデーションのようにゾーンを分ける技術だ。ソファーという巨大な障害物がなくなることで、リビングからダイニング、ベランダへと続く視線が遮られず、住まい全体に圧倒的な解放感と統一感が生まれる。