多くの二世俳優とは異なり、眞栄田郷敦の十代は芸能界とは無縁の場所にありました。彼が青春の全てを注ぎ込んでいたのは吹奏楽におけるアルトサックスの演奏です。名門として知られる岡山明誠学院高校へ進学し、吹奏楽部の部長として部員を牽引。全日本吹奏楽コンクール全国大会への出場を果たすなど、プロのサックス奏者を目指して毎日十数時間に及ぶ過酷な練習に明け暮れていました。
しかし、難関として知られる東京藝術大学の受験に惜しくも失敗。人生最大の挫折を味わい、サックスの道を完全に断ち切る決断を下します。そんな失意の底にあった彼を芸能界へと導いたのが、父・千葉真一氏の一言と、兄・新田真剣佑の活躍でした。音楽で培われた「ミリ単位で音や感情を研ぎ澄ます集中力」と「限界まで自分を追い込む規律」は、そのまま彼の俳優としての最大の武器へと昇華されています。