粉末ジュースの歴史において、最大の立役者となったのが渡辺製菓です。1953年に発売された「渡辺のジュースの素」は、喜劇王・榎本健一(エノケン)を起用したテレビCM「ホホイのホイ、もう一杯」のフレーズとともに日本全国へ爆発的に普及しました。果物がまだ高級品だった当時、水に溶かすだけで甘い果汁風ジュースが作れる画期的な商品は、一般家庭にとって夢のようなご馳走だったのです。
渡辺製菓の大ヒットに追随し、春日井製菓をはじめとする数多くの食品メーカーが粉末飲料市場に参入しました。オレンジ、パイン、イチゴといった多彩なフレーバーが登場し、昭和30年代には家庭用飲料市場の主役に君臨します。当時は水で溶いて飲むだけでなく、粉末を直接手のひらに出して舐める子供たちが続出し、駄菓子文化の象徴として定着していきました。