鬼となった炭治郎が示した驚異は、無惨自身の能力すら瞬時に凌駕した点にある。鬼化直後、周囲の隊士たちが浴びせた日光は、彼の皮膚を灼くどころか一切の効果を持たなかった。無惨が千年にわたって渇望し、青い彼岸花を捜索し続けた究極の目的である「日光の完全克服」を、炭治郎は変貌と同時にあっさりと達成してしまったのである。
背中から噴出する異形の触手状の骨刃、広範囲を瞬時に壊滅させる衝撃波、そして即死級の猛毒を含む血鬼術。炭治郎の持つ卓越した身体操作と日の呼吸の素養が鬼の再生力と融合した結果、日輪刀での斬首すら通用しない無敵の生物が完成した。もし彼が完全に自我を失ったまま解き放たれていれば、疲弊しきった鬼殺隊のみならず、人間社会そのものが瞬時に蹂躙されていたことは疑いようがない。