「侵入者がホームに上がったなら、すぐに電車を動かせるはずでは?」と疑問に思う乗客も少なくありません。しかし、現場では厳格な安全確認プロトコルが作動しています。
駅構内や線路沿いで人影が確認されると、指令所から現場周辺を走行する全列車に対して防護無線の発報や緊急停止信号が送られます。時速数十〜百数十キロで走行する電車は急ブレーキをかけても数百メートル進んでしまうため、衝突事故を未然に防ぐにはまず走行中の全列車を直ちに止める必要があります。
運転再開にあたっては、駅係員や警察官が立ち入り地点から前後の区間を徒歩でくまなく捜索し、以下の点を確認しなければなりません。
・立ち入った人物が確実に線路外へ退去したか(線路脇の退避溝や床下に潜んでいないか)
・線路上の分岐器(ポイント)や信号ケーブル等の重要設備に破損・異物挟み込みがないか
・落とし物や障害物が軌道上に残されていないか
たとえ侵入者本人が数分で立ち去ったとしても、「人の命」と「列車の安全運行」を100%担保するための捜索と点検には最低でも15〜30分、現場の状況によっては1時間以上の運転見合わせが必要となります。