京本大我の評価を決定づけている最大の要素は、妥協なき「発声技術の構築」にあります。多くのアイドル出身者が直面する「マイクのゲイン頼り」「ポップス特有の息混じり発声による劇場の音響負け」という壁を、彼は10代の頃から本格的なボイストレーニングを継続することで完全に克服しました。
舞台関係者の証言によると、彼の稽古場での姿勢は徹底して職人的です。『モーツァルト!』の楽曲群に代表される過酷な高音域(「僕こそ音楽」「影を逃れて」など)においても、喉を締め付けることなく、頭蓋骨の共鳴腔を活かしたミックスボイスから強烈なベルティングへのスムーズな移行を見せています。これにより、劇場の最後列まで歌詞の明瞭な子音と豊かな母音の響きがダイレクトに届くのです。
また、彼の演技における最大の特徴は「気品ある孤独」と「狂気」の同居です。演出家・小池修一郎氏は過去の会見で、彼の持つ天性の貴公子然とした佇まいと、役に入り込んだ際に放たれる激しい熱量のギャップを高く評価しています。自らを追い詰め、役に命を削るような鬼気迫るアプローチこそが、観る者の心を強く揺さぶる源泉となっています。