研究所を訪れる愛好家の多くが目当てとするのが、日本茶とアルコールを融合させた「茶酒」の存在です。居酒屋で見かける単なる「お茶割り」とは完全に一線を画し、茶葉の香気成分とスピリッツの分子構造を理解した上で構成される至高のカクテルといえます。
代表的な一杯である「焙じ茶ラム」は、焦がさずに絶妙な火加減で炒り上げた芳醇な焙じ茶を上質なダークラムに長時間インフューズさせ、複雑な甘みとウッディな香りを立体的に立ち上がらせます。また、低温抽出した宇治の玉露にクラフトウォッカを合わせ、微弱な加水で旨味(グルタミン酸)の輪郭を浮き彫りにするカクテルなど、その杯はまさにバーテンダーと茶匠の技が交錯する実験室(ラボラトリー)の様相を呈しています。
こうしたドリンクを彩る脇役として欠かせないのが、職人の手で丁寧に仕立てられた和菓子です。季節ごとの練り切りや羊羹、ドライフルーツをあしらった上品な菓子は、茶の渋味や茶酒のアルコール感を穏やかに受け止め、一口ごとの香りの余韻を驚くほど長く持続させます。単品の注文はもちろん、数種のお茶や茶酒と一口菓子を交互に楽しむテイスティングコースが用意されている点も、満足度を確たるものにしています。