大川小学校と並び、幼児教育の現場に深い衝撃を与えたのが、石巻市の日和幼稚園における送迎バスの被災事故です。地震発生直後、高台にある幼稚園から園児を乗せた送迎バスが出発し、あえて津波の危険性が高い低地・沿岸部方向へと向かった結果、津波に直撃され、その後の火災によって園児5名が命を落とすという悲痛な事態となりました。
当時の検証により、以下の構造的な問題が明らかになりました。
- 情報遮断下の運行判断:停電により防災行政無線やテレビの情報が入らない中、保護者へ園児を送り届けようとする平時のルーティンが優先されたこと。
- 高台からの逆避難:本来であれば安全な高台(海抜約26メートル)に園舎があったにもかかわらず、危険地帯へ子供たちを移動させてしまったこと。
- 引き渡し基準の未整備:災害時の園児引き渡しルールや保護者との通信手段が確立されていなかったこと。
裁判では幼稚園側の安全配慮義務違反が認められ、園側が敗訴しました。この事故を機に、全国の幼稚園や保育所、認定こども園において「大規模災害発生時は保護者の迎えがあるまで安全な高台施設内で留め置く」という保護原則が徹底されるようになりました。