東京から新幹線と車を乗り継ぎ、緑豊かな丘陵地帯を抜けた先に広がるのが本田技術研究所の中核拠点、四輪R&Dセンター(栃木)だ。広大な敷地内には、風洞実験棟、衝突安全試験場、音響計測施設、さらには超高精度なデジタルシミュレータールームが整然と並び立つ。外輪山の静寂とは裏腹に、建物の内部では数千人の技術者がディスカッションを戦わせ、白熱した空気が満ちていた。
「妥協した図面はすべて捨てろ」。そんな現場の荒削りな情熱は、今も色あせていない。デスクワークにとどまらず、自らの手で組んだプロトタイプを現場で走らせ、狂気じみた精度で課題を潰していく。泥臭いトライ・アンド・エラーの積み重ねこそが、この拠点を世界の最前線たらしめている原動力だ。