原宿八方館ビルの大部分を占め、2002年の開業以来16年以上にわたって竹下通りの顔として君臨していたダイソー原宿店。2019年1月27日の営業を最後に突如として幕を下ろしたニュースは、当時の小売業界のみならず一般の買い物客にも大きな激震を走らせました。
表向きの案内は「契約期間満了に伴う閉店」でした。しかし、その背景を掘り下げると、原宿という特殊な商業地特有のシビアな経済構造が浮かび上がってきます。最大の要因と目されるのが、竹下通りの坪単価・テナント賃料の高騰と、100円均一モデルの利益率の乖離です。
当時、世界的なインバウンド観光地として過熱していた竹下通りでは、路面店の賃料設定が跳ね上がっていました。どれほど店内が外国人観光客や若者で超満員になろうとも、客単価数百円の薄利多売ビジネスでは、天井知らずに膨らむ家賃負担と人件費を吸収し続けることが困難になります。加えて、大創産業(DAISO)自体が「単なる安売り店」から「デザイン性と機能性を兼備した複合ブランド展開」へと舵を切り始めていた転換期でもありました。老朽化した大型ビルでの再契約を結ばず、ポートフォリオを見直すという経営合理化の決断が、突然の撤退劇の真相です。