彼女を語る上で欠かせないのが、伝統話芸「講談」の世界における輝かしい実績です。声優としてすでに確固たるキャリアを築いていた1992年、声の表現をさらに究めるべく、立体怪談の大家であり後に人間国宝となった六代目・一龍斎貞水に入門を果たしました。
入門後は声優の仕事と並行しながら厳しい前座修行を重ね、1998年に二ツ目へ昇進。そして2004年には、講談協会において見事に「真打」へと昇進を遂げました。声優出身者が伝統話芸の世界で真打にまで上り詰めた事例は極めて稀であり、芸界の歴史にその名を刻む快挙となりました。
高座での一龍斎貞友は、アニメで親しまれる柔らかなトーンとは打って変わり、張りのある低音と鋭い話術で観客を物語の世界へと引き込みます。古典講談はもちろん、自身の声優としての経験を活かした親しみやすい語り口も取り入れ、講談という敷居の高い伝統芸能を幅広い層に届ける架け橋として多大な貢献を果たしています。