『絶歌』の出版を巡って最も激しい倫理的非難が浴びせられたのは、被害者遺族への事前連絡が一切なかったという出版プロセスの不義理さでした。企画を持ち込んだのは元少年A本人であり、複数の出版社を経て最終的に太田出版が引き受ける形となりました。
太田出版側は「重大少年事件を起こした当事者の手記を社会に提示することは、事件の背景を検証し再発を防ぐための公益性がある」と出版理由を主張しました。しかし、遺族への配慮を完全に欠いた出版強行は、メディア倫理の観点から猛烈なバッシングを受ける結果となります。
初版10万部という大規模な部数で全国の書店に配本された本書は、発売直後から総合ベストセラーランキングの上位に食い込み、累計発行部数は25万部を突破。社会的な嫌悪感と知的好奇心が複雑に交錯する中で、異例の売れ行きを記録することになりました。