江戸時代の俳聖・松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅で熱望し、その絶景を前に言葉を失ったという逸話はあまりにも有名だ。古典的な歴史紀行・観光ガイドの数々でも、芭蕉の足跡を辿るルートは常にハイライトとして扱われてきた。
陸からの眺望も素晴らしいが、真の魅力を体感するなら松島湾遊覧船への乗船が欠かせない。塩釜と松島を結ぶ航路や、湾内を約50分で周遊するコースなど、多種多様な船が出航している。仁王島や鍾乳島といった個性的な形状の島々を波間から仰ぎ見ると、千数百年の歳月が創り出した自然の造形美に息をのむ。芭蕉が句を詠むことすら忘れて見入ったとされる光景が、時を超えて目前に広がる。