最短ルートで目的地に着き、最短時間で情報を得る。この「タイパ」の追求は、私たちの生活から「無駄」を徹底的に排除した。しかし、人生の面白さや喜びは、実はその排除された「無駄」の中にこそ隠れていたのではないか。
迷子になった路地裏で見つけた古本屋。予定がキャンセルになったおかげで入った喫茶店での心地よい時間。そうした「予定調和ではない偶然の出会い(セレンディピティ)」が激減したことが、人々の心に乾きをもたらしている。すべてがアルゴリズムによってレコメンドされる世界では、驚きや発見という感情の振れ幅が小さくなってしまうのだ。