2017年からチームを率いた中田久美は、日本女子代表史上初となる女性指揮官として絶大な注目を集めた。天才セッターと呼ばれた現役時代の強烈な勝負勘と、Vリーグで実証された卓越した指導力を引っ提げての就任だった。「伝説の継承」と「世界最高峰への返り咲き」を期待された中田の任期は、しかし波乱に満ちたものとなった。
新型コロナウイルスの感染拡大による東京五輪の1年延期、世界ランキング上位国とのフィジカル差、そして自国開催という苛烈なプレッシャー。東京五輪での予選敗退という結果は厳しい批判に晒されたが、彼女が示した「凛とした覚悟」と女性指導者としてのパイオニア精神は、多様化が進む現代の日本スポーツ界に確かな足跡を残した。