「お客様と向き合って観光案内をしている最中、スマートフォンを不自然な角度で胸元や足元に向けられていた」「跳ね上げ席(補助席)に座る際、スカートの隙間を狙うように小型カメラを設置されていた」――現場の乗務員手記や業界の労働組合ヒアリングには、こうした生々しい証言が数多く記録されています。
観光バスの車内は、一度出発すれば長時間を共にする高度な密室空間です。バスガイドは安全運行の補助、観光案内のアナウンス、乗客への配慮など多岐にわたる職務に集中しなければならず、特定の乗客の手元ばかりを注視し続けることは極めて困難です。この「業務上の制約」と「サービス従事者としての立場」を悪用した卑劣な撮影行為が、水面下で常態化してきた背景があります。
日本バス協会や交通労連が実施した実態調査でも、接客中の女性乗務員の相当数が何らかのハラスメントや無断撮影・盗撮に遭遇、または強い不安を感じた経験があると回答しています。精神的なショックから離職を余儀なくされるケースも後を絶たず、観光業界の人手不足に拍車をかける深刻な問題として顕在化しています。