読んだ後に嫌な気分になるものの、その毒の強さゆえにページを繰る手が止まらなくなるのが「イヤミス」の魔力です。ここに強烈な企みが加わったイヤミスとどんでん返しの融合作品は、人間の底知れぬ悪意やエゴを浮き彫りにし、忘れがたい読書体験を刻み込みます。
湊かなえの『告白』は、我が子を殺された女性教師の復讐劇を複数の視点から描き、各章ごとに真実が更新されていく圧巻の構成です。また、沼田まほかるの『ユリゴコロ』や真梨幸子の『殺人鬼フジコの衝動』のように、おぞましい狂気の裏に隠された痛切な真実が明かされる瞬間は、読者の倫理観を激しく揺さぶります。