臨済宗天龍寺派の大本山である天龍寺が直営する精進料理店「篩月」は、単なる観光地ランチの枠を大きく超えた特別な食体験を提供しています。禅宗の修行から生まれた精進料理は、肉や魚、五葷(ごくん:ネギやニンニクなど匂いの強い野菜)を一切使わず、旬の野菜、山菜、野草、海藻を極限まで工夫して調理する伝統的な日本料理の源流です。
篩月が世界的な注目を集める最大の理由は、ミシュランガイドのビブグルマン(価格以上の満足度が得られる料理)に継続して掲載されている確かな調理技術と、史跡・特別名勝である「曹源池庭園(そうげんちていえん)」を擁する天龍寺境内という唯一無二のロケーションにあります。
「精進料理は味が薄く、物足りないのではないか」という先入観を持つ初来訪者も少なくありません。しかし、昆布や椎茸から丁寧に抽出された重層的な出汁の旨味、濃厚な自家製胡麻豆腐、季節の食材が持つ本来の甘みと滋味が凝縮されており、食後の満足感は驚くほど高いと評されています。