全日本吹奏楽連盟が主催する全日本吹奏楽コンクールにおいて、『もののけ姫』を自由曲として選択する団体は今も後を絶たない。規定の時間枠(7分〜8分以内)の中で、物語の劇的な起承転結をどう再構成するか。ここに指導者の音楽的センスと戦略が如実に表れる。
審査員に対して技術的なアピールと音楽的な感動を同時に届けるためには、静と動のコントラストを極限まで強調したカット構成が欠かせない。「出会い」や「タタリ神」の超絶技巧的なアンサンブルで合奏精度を誇示しつつ、中間部で息をのむような美しいコラールを挟み、最後は「アシタカせっ記」の壮大なクライマックスでホールを鳴らし切る。各パートの見せ場を均等に配置しながらも、全体の構成美を損なわない論理的なスコアリーディングが勝敗を分ける境界線となる。