天文ファンであれば、「宇宙一大きい恒星といえば『たて座UY星』ではないのか?」と疑問に思う方も多いはずです。実際、2010年代半ばまで多くの科学メディアでたて座UY星は「太陽の約1,708倍」という数値を掲げ、歴代トップとして紹介されていました。
この順位が覆った背景には、欧州宇宙機関(ESA)の高精度位置測定宇宙望遠鏡「ガイア(Gaia)」による精密なデータ収集があります。
恒星の見かけの大きさや明るさから実際の直径を逆算する際、星までの「正確な距離」が絶対的な計算基準となります。従来の観測では、たて座UY星は地球から約9,500光年離れていると考えられていました。しかし、ガイア衛星による精密な年周視差の測定によって、実際には約5,100光年と、従来推定の半分近くの距離に位置していることが判明したのです。
地球からの距離が従来考えられていたよりもずっと近いということは、天体自体の真の明るさや実際の直径が小さく修正されることを意味します。最新の再解析により、たて座UY星の半径は太陽の約755倍から1,000倍程度に見直され、宇宙最大の座から後退することになりました。天文学の進化が、宇宙の絶対王者を塗り替えたのです。